コラム
【コラム】第13回 フィーチャーストーリー 野毛駿平プロ ～ダーツのプロは夢がある職業～
トッププレイヤーの激しい戦いが、ギャラリーを沸かしているJAPAN。とくに、勢いのある若手の登場は、会場をいっそう熱くしてきました。そんなプレイヤーのひとりが野毛駿平プロ。23歳で年間チャンピオンを獲得し、以降も上位で活躍し続けています。そこで今回は野毛プロにダーツを始めた当時の思い出やプロの厳しさを感じた時など、これまでの道のりを振り返り語ってもらいました。
■ダーツデビューは15歳。2年間休まず練習し続ける日々。
Ｕ-19トーナメントなどユースの大会で優勝し、10代の頃から頭角を現していた野毛プロ。ダーツを始めた当時のエピソードを語ってもらいました。
「初めてダーツに触れたのは15歳の時です。最初はまったく思い通りに投げられず、それが悔しくて、毎日練習していました。ダーツで勝ちたいとはそれほど思っておらず、たいていのスポーツはそれなりにこなすことが出来る自分が、こんなにも外すことが気に食わなかったんです（笑）。本格的に始めてから2年間は、一度も休むことなく多い日は10時間以上ずっと練習していました。ちなみに、当時は中学生だったのでダーツバーには行けませんでしたが、お店のオーナーと仲良くなる機会があり、特別に営業前にお店を開けてもらい練習していたんです」
早くからダーツと出会い腕を磨いてきた野毛プロは、なぜ厳しいプロの世界に足を踏み入れたのでしょうか？
「プロになったのは19歳の時です。実は『ダーツのプロとして生きていこう』と高い志があったわけではありません。その頃からお店で格上のプレイヤーと勝負をしても、どこか『相手が本気になっていない』と感じるようになっていました。そこで、この人たちをむきにさせるにはどうすればよいかと考えて、『プロになれば対等に見てもらえるだろう』と思ったんです。それが、プロを目指したきっかけです」
■初の入れ替え戦を突破から、一気に頂点へ
アマチュア時代は好成績を残こすことが出来ても、いざプロになると高い壁にぶつかるプレイヤーが多いもの。そこでプロとして戦い始めた当時を振り返り、野毛プロに語ってもらいました。
「レベルが高いと感じましたが、勝てないとは思いませんでした。結果が出なくても自分の努力が足りないだけだと考えていたので、それまで以上にひたすら練習していました。初めて手ごたえを掴んだ試合は、2014年の開幕戦です。初めて入れ替え戦を突破できて、そのまま勢いに乗って初優勝できました。当時は23歳で金銭面でも余裕がなく『この賞金でツアーを回れるな』と思うと、とても嬉しかったです。そのシーズンは残り4戦の時点で4位くらいでしたが、終盤戦で優勝、優勝、準優勝、準優勝と流れを掴み、年間チャンピオンを獲得することができました」
今シーズン、RED SEASONに入ってからは一度も16位入賞を逃すことがなく、ランキング7位と好位置につけている野毛プロ。常に安定して活躍を続けている印象がありますが、辛い時期はあったのでしょうか？
「求められることが変わったと感じた時は、辛かったです。例えば、駆け出しの頃はJAPAN16に残れただけである程度認めてもらえますが、実力がついてくるとさらに高いレベルで戦うことを期待されます。とくに年間チャンピオンを獲得した翌年は、それを強く感じました。ミスを恐れるあまり守りに入ってしまい自分のプレイが出来ず、好調をキープすることの難しさを改めて痛感したシーズンでした」
■若手は、もっとダーツに飛びこめばいい
厳しいプロの世界では、将来を不安に思う若手プレイヤーも多くいます。そこでこれまでの経験をふまえ、野毛プロからアドバイスをもらいました。
「ダーツのプロは夢がある職業です。もちろん成績は求められますが、好きなことをして生活が成り立つんですから。それは凄いことだと思うんです。若手の選手を見ていると、『もっとダーツに飛びこめばいいのに』と思うことが度々あります。さまざまなスタイルがあっても良いとは思いますが、将来を不安に思ってか他の仕事を持ちながらプロとしても活動している若手も多いんです。確かにその気持ちもわかりますが、覚悟を持ってプレイをしていれば、助けてくれる人が必ずいます。ある程度の年齢まではプロ一本でいこうと決めて、頑張るのもいいかもしれません。若手には『思い切れるのは今しかない』と伝えたいですね」
終始笑顔でインタビューに応えてくれた野毛プロですが、ときおり見せた鋭い眼光からプロとしての覚悟を感じることができました。これからも、華麗なプレイで会場を沸かしてくれる野毛プロの姿に注目です。
▼選手名鑑（野毛駿平プロ）
https://livescore.japanprodarts.jp/directory_detail.php?p=704
