コラム
【第27回フィーチャーストーリー 大和久明彦プロ】~現状の課題は調整力を高めること~
年間全18ステージで争われるJAPANはいよいよ後半戦に突入。好プレイを見せ会場を沸かせるプロが注目を集める一方で、実力があるにもかかわらずなかなか調子を掴めず、これからの巻き返しを目指すプレイヤーの姿も。プロの世界で常に好成績をキープすることはそう簡単ではありませんが、そんななかで安定した活躍を続けているプロのひとりが大和久明彦プロです。STAGE 10 終了時点でポイントランキング15位とJAPAN16以内にランクイン。2017年シーズンは年間ランキング4位、2018年シーズンは6位と常に上位で戦ってきました。今回はそんな大和久プロにインタビュー。日頃の練習方法や現状の課題などに迫ります。
■実力を上げるためには、まず基礎力を付けること
テニスボールを投げてスナップの感覚を鍛えたり、動画を撮影してフォームをチェックしたり、技術の高め方はプロによってさまざまです。そこで大和久プロに日頃の練習方法について聞きました。
「練習は試合に向けての調整と自分の技術をあげるための大きく分けて2種類があります。試合用の練習は大会前に実戦の形式通りに投げており、荏隈秀一プロやパク・ヒョンチョルプロなど身近のプロと投げ合うことが多いです。ひとりで行う練習は、調子が悪い時に漫画喫茶などに行き、もくもくと練習しています。ちなみに練習メニューは9割がカウントアップで、ほとんどブルしか投げません。ブルを外さずに投げることができれば他の数字の精度も自然と高まってきますからね。一回の練習はだいたい3時間ほどで、気になっているポイントを意識して、しっくりくる感覚を探しながらひたすら投げます。例えば、カウントアップで24回投げるなかで、良い感覚が何度あったかを数えて、その確率を高めるために何回も何回も投げ込むイメージです」
■現状の課題は調整パターンを増やすこと
上位で戦う力を持っているプロでも、なかなか解決できずに苦しんでいる問題を抱えているものです。大和久プロが現在取り組んでいる課題はあるのでしょうか?
「対応力をあげることが現在の課題です。このポイントは鈴木未来プロと話していると、よく指摘を受けます(笑)。そのためには調整方法のパターンを複数持っていることが大切です。そもそもひとつのスタイルでしか投げられなければ、それがハマらなかった時に結果を残すことができないので、コンディションに合わせて修正する力は必須のスキルだと思います。さまざまなプレイヤーに話を聞いていると、手首の使い方やグリップの圧力を変えるなど調整パターンを模索しているプロがほとんどです。試合が近づくとその修正術を試していき、しっくりこない方法は除き当日までに最低でも3パターンほどを作っていると思います。調整法が多ければ試合中に崩れにくくなりますからね。自分はこれまで、ひとつのスタイルに絞って試合に臨むことがほとんどだったので感覚と合わなければ成績がついてこないこともありました。修正方法の引き出しを増やして、柔軟に対応できる力を身に付けることが必要だと思っています」
■安定感を生む"3点支持"というグリップスタイル
国内の大会にとどまらず、世界の舞台にもチャレンジしている大和久プロ。海外の試合を通じて感じていることを聞きました。
「海外の一流プレイヤーと交流すると本当に技術アップにつながるので、世界の舞台にはこれからも積極的にチャレンジしたいです。ちなみに最近はイギリスのトッププレイヤー、エイドリアン・グレイ選手からグリップについての話を聞いて勉強になりました。以前から自分は、グレイ選手をはじめとするヨーロッパ選手の持ち方のほうが合っていると感じていたので、とても気になっていたんです。しかし日本にはそのグリップをしているプロがそれほど多くないため、どれほど効果があるのか確信が持てずにいました。実際に話を聞いてみるとかなり印象が良かったので、今は自分の体になじませるために取り組んでいる途中です」
海外のトッププレイヤーの言葉に背中を押された大和久プロ。ヨーロッパのプロに多い、そのグリップについて解説してもらいました。
「人差し指、中指、親指の3本を使い指先で浅く持つ、"3点支持"というグリップスタイルのプレイヤーが多く、親指を頂点とする逆三角形でダーツを支えているイメージです。一方、日本のプレイヤーは親指を反り気味にしてその上にダーツを乗せ、人差し指と中指で挟むように持っているプロが多い印象があります。つまり指とバレルが触れている面積が多く、点よりも面で支えているイメージです。こちらのほうが固定力はありますが接している面積が多い分、指の力が伝わり過ぎてしまう短所もあります。中指に余計な力が入るとチップが自然と下を向くなど、どこか一点に無駄な力が入るとリリース前にグリップが乱れる原因になるんです。それに比べて"3点支持"は三角形がきちんとできていれば、ほとんどグリップがぶれることがありません。実際に試してみても、かなり感触が良いです。結果が出るまでは時間がかかるかもしれませんが、地道に取り組んでいきたいと思っています」
インタビューを通して、技術を高めるひたむきな姿勢が印象的だった大和久プロ。「ダーツの話をしたら3時間くらいは語り続けると思います」と笑顔で答えてくれました。これからも、研究を重ねてダーツ業界をリードする姿に注目です。
▼選手名鑑(大和久 明彦プロ)
https://livescore.japanprodarts.jp/directory_detail.php?p=199
■実力を上げるためには、まず基礎力を付けること
テニスボールを投げてスナップの感覚を鍛えたり、動画を撮影してフォームをチェックしたり、技術の高め方はプロによってさまざまです。そこで大和久プロに日頃の練習方法について聞きました。
「練習は試合に向けての調整と自分の技術をあげるための大きく分けて2種類があります。試合用の練習は大会前に実戦の形式通りに投げており、荏隈秀一プロやパク・ヒョンチョルプロなど身近のプロと投げ合うことが多いです。ひとりで行う練習は、調子が悪い時に漫画喫茶などに行き、もくもくと練習しています。ちなみに練習メニューは9割がカウントアップで、ほとんどブルしか投げません。ブルを外さずに投げることができれば他の数字の精度も自然と高まってきますからね。一回の練習はだいたい3時間ほどで、気になっているポイントを意識して、しっくりくる感覚を探しながらひたすら投げます。例えば、カウントアップで24回投げるなかで、良い感覚が何度あったかを数えて、その確率を高めるために何回も何回も投げ込むイメージです」
■現状の課題は調整パターンを増やすこと
上位で戦う力を持っているプロでも、なかなか解決できずに苦しんでいる問題を抱えているものです。大和久プロが現在取り組んでいる課題はあるのでしょうか?
「対応力をあげることが現在の課題です。このポイントは鈴木未来プロと話していると、よく指摘を受けます(笑)。そのためには調整方法のパターンを複数持っていることが大切です。そもそもひとつのスタイルでしか投げられなければ、それがハマらなかった時に結果を残すことができないので、コンディションに合わせて修正する力は必須のスキルだと思います。さまざまなプレイヤーに話を聞いていると、手首の使い方やグリップの圧力を変えるなど調整パターンを模索しているプロがほとんどです。試合が近づくとその修正術を試していき、しっくりこない方法は除き当日までに最低でも3パターンほどを作っていると思います。調整法が多ければ試合中に崩れにくくなりますからね。自分はこれまで、ひとつのスタイルに絞って試合に臨むことがほとんどだったので感覚と合わなければ成績がついてこないこともありました。修正方法の引き出しを増やして、柔軟に対応できる力を身に付けることが必要だと思っています」
■安定感を生む"3点支持"というグリップスタイル
国内の大会にとどまらず、世界の舞台にもチャレンジしている大和久プロ。海外の試合を通じて感じていることを聞きました。
「海外の一流プレイヤーと交流すると本当に技術アップにつながるので、世界の舞台にはこれからも積極的にチャレンジしたいです。ちなみに最近はイギリスのトッププレイヤー、エイドリアン・グレイ選手からグリップについての話を聞いて勉強になりました。以前から自分は、グレイ選手をはじめとするヨーロッパ選手の持ち方のほうが合っていると感じていたので、とても気になっていたんです。しかし日本にはそのグリップをしているプロがそれほど多くないため、どれほど効果があるのか確信が持てずにいました。実際に話を聞いてみるとかなり印象が良かったので、今は自分の体になじませるために取り組んでいる途中です」
海外のトッププレイヤーの言葉に背中を押された大和久プロ。ヨーロッパのプロに多い、そのグリップについて解説してもらいました。
「人差し指、中指、親指の3本を使い指先で浅く持つ、"3点支持"というグリップスタイルのプレイヤーが多く、親指を頂点とする逆三角形でダーツを支えているイメージです。一方、日本のプレイヤーは親指を反り気味にしてその上にダーツを乗せ、人差し指と中指で挟むように持っているプロが多い印象があります。つまり指とバレルが触れている面積が多く、点よりも面で支えているイメージです。こちらのほうが固定力はありますが接している面積が多い分、指の力が伝わり過ぎてしまう短所もあります。中指に余計な力が入るとチップが自然と下を向くなど、どこか一点に無駄な力が入るとリリース前にグリップが乱れる原因になるんです。それに比べて"3点支持"は三角形がきちんとできていれば、ほとんどグリップがぶれることがありません。実際に試してみても、かなり感触が良いです。結果が出るまでは時間がかかるかもしれませんが、地道に取り組んでいきたいと思っています」
インタビューを通して、技術を高めるひたむきな姿勢が印象的だった大和久プロ。「ダーツの話をしたら3時間くらいは語り続けると思います」と笑顔で答えてくれました。これからも、研究を重ねてダーツ業界をリードする姿に注目です。
▼選手名鑑(大和久 明彦プロ)
https://livescore.japanprodarts.jp/directory_detail.php?p=199