コラム
【第30回フィーチャーストーリー 林雄太プロ】～周りのサポートを力に変えて～
毎年多くの若手プレイヤ--が参戦し、新しい力が観客を沸かしているJAPAN。しかし高い技術を持つトッププレイヤーを退け、上位に進出することは容易ではありません。そんななか今シーズン頭角を現したプレイヤ--のひとりが林雄太プロ。21歳という若さにもかかわらずSTAGE 8 福岡で初のTOP16入りを果たすと、STAGE 11 愛知では準優勝と強烈な印象を残しました。今回はそんな林プロにインタビュー。香港でのダーツ修行についての話や今シーズンの浮上のきっかけなどについて聞きました。■家族のバックアップを力に変えて
21歳という若さで、プロとしてJAPANの舞台で戦っている林プロ。どのようなきっかけでダーツを始めたのでしょうか？
「ダーツを始めたのは10年ほど前で、両親が『Cafe&Bar TOPGUN』というダーツバーをオープンしたことがきっかけでした。お店の常連さんにとてもダーツが上手い美容師の方がいて、教わりながら徐々に力をつけていったんです。今でも心強い存在で、悩んだ時には美容室を訪れて3時間ほど居座って相談しています（笑）。ちなみに父は元ビリヤードの選手でオープンする際はビリヤードの導入も考えていたようですが、知人に『今はダーツが流行っているみたいだ』とアドバイスを受けてダーツマシンを設置したそうです」
個人競技であるダーツですが、まわりのサポートが大きな力になるものです。そこで兄妹でJAPANに参戦している林プロに家族との関わりについて聞きました。
「会場まで車で送ってくれたり、遠方の大会は速報をチェックして連絡をくれたりこれまでに本当にたくさんのバックアップをしてもらいました。学生の頃はダーツの技術アップのためなら快く東京や海外にも送り出してくれて、とくに香港にダーツ修行に行ったことは今でも印象に残っています」
■環境を大きく変えることでスキルアップに成功
高校を卒業したタイミングで香港に渡ったという林プロ。香港でのダーツ修行について詳しく伺いました。
「香港のトッププレイヤー、マサ・ルイ選手と仲良くなり『サポートするから香港においで』と誘ってくれたことをきっかけに、10ヵ月間ほどマサ選手の家にホームステイをしながらダーツの練習をしていました。ちなみに、初めてレーティングで18に到達できたのも、カウントアップで1200点を達成したのも香港でした。英語がまったく話せない状態で行ったことでメンタルもタフになったので、技術面でも精神面でも自分のレベルアップにつながったよい経験だったと思います」
■大きな自信につながった、トッププレイヤーのひと言
シーズンの前半戦は苦しんだもののSTAGE 8でTOP16に残り、それ以降は上位のプロにも引けを取らない試合を展開している林プロ。浮上のきっかけはあったのでしょうか？
「山口祐理子プロ、田村友乃プロのアドバイスが大きかったと思います。奈良のリーグ戦に出場した時に会場で話す機会があり、試合に臨む姿勢について詳しく助言をもらいました。たとえば僕はこれまで、優勝したら獲得できるポイントや年間チャンピオンになるために必要となるだいたいのポイントなどをそれほど意識していなかったんです。しかし『ツアーに参戦しているのだから、きちんと数字を意識しながら戦ったほうがよい』と助言をもらいました。それからは、以前に比べて戦略的に戦うことができていると思います。また具体的な目標を設定することの大切さも教えてもらいました。これまではぼんやりと『優勝したい』としか考えていませんでしたが、山口プロから『普段の力を発揮できたら、どのくらい成績を残せると思う？』と質問をされたんです。考えたところ『今シーズン中に3回は決勝に進出できる』と思い、その時に初めて自分の実力を客観的に把握することができました。とても自信につながって、それからは強い選手と対戦しても、落ち着いてプレイできるようになりましたね」
インタビューを通して、常に自ら行動を起こし貪欲に技術を磨いてきた姿が印象的だった林プロ。今後の目標として「安定してJAPAN16に残り続けたい」と語ってくださいました。JAPANも残すところ数試合。目標達成のために奮闘する林プロから目が離せません。
▼選手名鑑（林雄太プロ）
https://livescore.japanprodarts.jp/directory_detail.php?p=2704
